K-methodを受けた患者さまの声

東京:総合医療材料メーカー開発部長 男性

 私は、医療材料を販売する会社に勤務し、長く製品開発畑を歩んでおります。仕事柄全国の医療機関に数多く出入りし、そしていろんな分野の医療従事者の方と接する機会が多く、いい意味でも悪い意味でも日本医療の裏事情を知っているつもりです。ですから、病気や怪我になっても(自分であっても、家族や知人であっても)安易な医療機関や治療法の選択ができません。ある意味自分自身が納得した情報を得られなかったり、医師や看護師との充分なコミュニケーションが取れないと、不安でなりません。
そんな自分でありながら、15年以上頚の疼痛発作に悩まされていました。仕事などで過労気味になると、あまりの痛みに起きることや歩行さえもままならない状態になるのです。何度か救急外来的に診療の機会がありましたが、いずれも根治策はおろか、起因の特定すら得られませんでした。
一方、脊髄外科のカリスマ的存在である木原先生とは、先生のご発案内容(脊髄の保存療法に関するもの)を具現化するという関係で知り合うことになりました。
木原先生との共同開発ステップの中で、先生のポリシーや卓越した術式が業者である自分であっても十分理解でき、”この先生なら”と自分の悩みを打ち明ける決心がつきました。先生も、大変快くというか気軽に応じていただき、まずはMRI検査を行うことになりました。一連の検査は程なく終わり、後は木原先生による画像診断。診断の結果、頚椎の脊柱管が間隙無いまでに狭まっており、これが起因して疼痛発作が起こっていることが判明しました(また、後から打ち明けていただきましたが、まさかこんなに状態が悪いとは思わなかったようです)。この状態を根治的に改善するためにも、先生が多数手がけられている『椎弓形成術』を勧められました。今まで悩んでいた原因がクリアになったことと、反面このままでは後遺障害の可能性があることがない混ぜになり、正直なところ多少なりとも精神的な混乱を来たしてしまいました。
でも、第三者的に考えれば、木原先生に私のような症例を手掛けていただければ、生涯的に根治できると判断しました。それは、現在までに1,500を超えるまでの症例への対応と、他に類を見ないほどの術後成績が後押ししたのです。唯一残念だったのが、私の住む横浜近辺に木原先生の術式を完全再現していただける施設が無かったのです。結果として、大津市民病院へ手術予約をしました。
実は手術までの間、いかに木原先生を信頼しているとはいえ、観血的な根治法に対し大きな抵抗感があったのは事実です。その間先生の『椎弓形成術』を自分なりに客観分析をしました。その結果、
・ 後方要素を最大限温存させる(周囲筋の機能に殆どダメージを与えない)
・ 術式そのものが極めて低侵襲であること
・ 術後の社会復帰が他の術式に比べ、極めて早期であること(これは勤め人にとって大きな問題です)
大きくこの3点が私を決断させたポイントでした。
手術は予定で2時間程度でしたが、実際には3時間でした。他院の例で言えば、8時間前後を覚悟せねばなりませんので、極めて短時間の部類と思われます。しかし、術後の説明で分かった事ですが、4椎体の狭窄部位の拡大術以外に、頚椎の可動そのものがかなり阻害されており、それらの改善術作業を考えると、とても3時間内に行われたとは思えませんでした。手術時間が短いということは、それだけでも肉体的なダメージが低減された証です。手術スタッフの熟練された技術に感謝するばかりです。
私の場合(でもここでは一般的だそうです)、術後18時間後に劇的変化がありました。これは医療業界に従事しているがゆえ、明らかに他院とは異なる変化です。
■ 術後点滴の終了   術後感染の兆候がないと判断され、点滴を中止されましたが、私だけの事例ではなく、この病院では一般的な判断とのことです。抗生物質の点滴ですが、本来抗生物質は術後感染への対処薬物療法のはずです。しかしながら日本の一般的な病院の考え方では、普通は一週間ぐらい当たり前のように処方されるはずですが、院内感染対策、医療コスト、患者負担の観点からもすばらしい判断です。(病院の利益は減りますが)
■ 立位から歩行   この術式のすばらしいポイントのひとつですが、まさかこんな早期に立位そして歩行まで許されるとは。
■ 尿カテ抜去   全身麻酔のため、尿管留置カテーテルを挿管されていましたが、当然不要のため抜去となりました。しかし、この抜去は今回唯一の激痛を覚えました。これは他院でも同じなのですが、改善の必要性があると思いました。(業界人としても)
■ ドレーンの抜去   この術式のすばらしいもうひとつが出血そのものの少なさがあります。外科的な根治に出血が伴うのは必須なのですが、如何に周囲組織へのダメージを与えなかったことがうかがえます。ですから、術創からのドレナージも必要がなくなり、ドレーンも朝には抜去されたわけです。
あらかじめ説明を受けておりましたが、この早期離床はいい意味でショックでした。先に記しました手術を受ける”決断ポイント”の通り、常識的な頚椎手術ではとても考えられないADL(日常生活動作)の回復ぶりです。その驚きは家族も同様で、術後まだ24時間も経っていない私が、病室でパソコンと向き合い仕事のチェックをしている姿を見た瞬間、ベッドで安静にしているであろう予想を見事に裏切ったのでした。
切開の考え方、ナート(縫合)についても特筆すべき点がありました。私のように、頚椎5椎間の椎弓形成術をする場合、他院の一般的な術式だと大凡15センチ前後の切開が普通です。でも私の場合は3センチ程度で、また術前の剃毛すらありませんでした(個人的に剃毛操作に否定的ではありますが)。またナートも吸収糸による内部縫合をするまではごく一般的なのですが、体表面部はスキンクロージャーでテーピングされ、あの醜い縫合瘢は皆無です。直接自分の目で見ることはできませんが、写真などで見ても、”痛々しい”感じがしません。知人によれば、『小さいころの怪我の跡にしか見えない』だそうです。うがった見方をすれば、知らない人がわたしの傷を見ても、”簡単な手術”としか感じさせないのです。当人にとっては、長年のつらさから解放されるための”大手術”だったのですが、他でお悩みの方に申し訳ないぐらい目立たないのです。
入院中、木原先生とゆっくりお話をさせていただく機会がありました。その中で感銘を受けたいくつかを紹介させていただきます。私自身医療業界に接しているがゆえに感じるのが、医療の提供はいわゆる究極のサービス業だと思っておりました。木原先生も同感とのことです。しかしながらいくら設備や患者への接遇が良くても、根本たる医療技術のレベルが高くないことには見せかけのサービスになってしまいます。技術的なところは、既に記させていただきましたが、総合的な癒し空間の提供に、こだわっていらっしゃいました。大津市民病院は、(財)日本医療機能評価機構が認定した病院です。それゆえ、あらゆるところに医療サービスとして適切な配慮がなされていました。それは、スタッフ、設備、物品、情報管理など、総合的なレベルを指します。もっと平たく言えば、大変心地よい入院環境だったのです。癒されて治るから、治癒なのです。
また、今回の術式に関しても、既に多くの場面でいわゆるレシピが公開されているのです。それらの文献をいくつか読む機会がありましたが、帝国ホテル総料理長:故村上信夫が広くフランス料理を広めたように、惜しげもなく”ノウハウ”たる部分を。でも、如何にレシピを公開し、関係者に伝承すれども本当の意味で伝わりきれないことに、ジレンマを感じてらっしゃったようです。まさに職人の領域です。
幸運なことに、私は以上のような機会で手術を受けることができ、頸椎障害を根治できたと確信しております。その逆に残念なことではありますが、この治療を全世界的レベルで受けることができる患者さんが極々限られていること、1,500例を超える明らかに良成績を客観的に評価いただいていない日本医療の閉鎖性に心苦しい思いがあります。
是非先生のホームページをご活用頂き、1人でも多くの方が頚椎の悩みで一筋の光明を見出していただければ幸いです。