K-methodを受けた患者さまの声

東京都在住 自営業 菊地 清 様

木原俊壱先生様

 歩行時に両足の膝下付近、そして、右手の親指、左手の小指から手首にかけて痺れを感じたのは2011年の初冬です。嫌な予感がしましたが、ちょうど還暦を迎えたところでした。加齢と運動不足のせいなのだろうと、マッサージに通い温湿布を当てたりして、誤魔化していました。症状は良くもならない代わりに、悪くなる事もありません。数ヶ月の間、普段通りの生活を送っていました。

 それが、翌年の春先、突然の異変を感じたのです。氷雨の降る寒い夜でした。健康保持のためと老体に鞭打ち、温水プールで100メートルの平泳ぎと20分の水中歩行、いつものメニューをこなすために、水泳パンツとタオルをリックサックに入れて自宅を出ました。そして、ほぼ一時間後、プールから上がり、更衣室で肌着に着替え、ズボンを履こうした時です。腰から両足先にかけて、ビリッと強烈な痺れが走ったのです。その瞬間、何が起きたのかと驚きました。ズボンを履くどころではなく、そのまま動けなくなり、長椅子に倒れこむようにして身体を横たえました。

 額に冷や汗をかきながら、深呼吸を繰り返し、救急車を呼んで貰おうと人を探しました。ですが、氷雨のそぼ降る冷たい夜、温水プールとは云っても、泳ぎに来るような人はそう多くはいません。更衣室は無人でひっそりとしたままです。エラいことになったと絶望的な気分でいると、その内、ウソのように痺れは治まりました。その間、5分ほどだったでしょうか。気が付くと、両足は平常の感覚に戻り、立って歩いて帰宅できました。その時はもちろん、自分の身体に何が起きているのか知る由もありません。ですが、近い内に両足が麻痺して、歩けなくなるような気がしてひどく憂鬱な気持ちになったのを覚えています。

 翌日、近くの整形外科に行き、症状を説明し、首、腰の部分のレントゲンを撮りました。前夜、感じた下半身の異変との因果関係は不明と云うことでしたが、頚椎に異常が発見されました。そこで、設備も整った大きな病院でより詳細な診察を受ける必要があるという医師の云う通り、総合病院の整形外科に赴きました。およそ2時間の待ち時間を経て、レントゲン、CT、MRIで精査したところ、やはり、頚椎に問題があるとの診断を下されました。

 医師にこれまでの現れた症状を細かく説明し、歩けなくなる不安を相談したところ、ひとまず、痺れの薬を服用した上で、一ヶ月後に再診察をしようということになりました。プールの更衣室で体験した強烈な痺れはないものの、歩行時の両足の痺れと両手の局所の痺れは相変わらずでした。一ヶ月後、診察に訪れると、再びこのまましばらく経過観察を続けようという医師の診断です。

 どうも納得ができなくて、今、できる具体的な対応策を医師に訊くと、「指でシャツのボタンがかけ辛い、箸が持てない」あるいは、「歩行に著しく困難を感じたら、すぐに病院に来るように」と云う答えが返って来ました。そして、診察室を出る間際、「絶対に転ばない事!!! 転んだ場合、重篤な状態に陥る可能性があるから・・・」と、医師は目を落としたまま言ったのをよく覚えています。その時、わたしは混乱していたせいでしょうか、それ以上質問することなく、結局、痺れの薬を処方され、帰宅しました。

 それから二年のあいだ、さらに二軒の整形外科に赴き、専門医の診察を受けました。ところが、二人の医師の口から出た答えはやはり「経過観察」と云うなんともあやふやな言葉です。私は途方に暮れながら、医師に訊きました。「今以上に、症状が重くなったらまた診察に来て下さいと云いますが、その時の対応で私の歩行困難等の問題は解決するのですか?」と問うと、「それははっきりいえません」と、答える医師に私は愕然とする思いでした。というのは、この頃、明らかに症状に憎悪が見られたからです。特に歩行に関しては深刻でした。出歩くのがひどく億劫になり、たまに出かけると、腰の下ろせる椅子やそれに代わるモノを無意識に探しているのです。

 身体に深刻な事態が迫っているのは自分でもよく分かりました。わたしは最初にかかった医師に連絡を取ろうとしました。が、転勤したという何とも素っ気無い返事。電話の向こうで新しい先生がいるから来て見なさいと云われ、診察をお願いすると、「もう少し経過観察をしようと」と云う答え・・・。

 それから、藁をも掴む思いで買い漁った雑誌で知った体操を実行し、民間療法に頼りました。しかし、症状が悪化しただけで、一向に改善の兆しは見えません。どうしようかと頭を抱え、人生の大転換を模索せねばと真剣に思い悩みました。

 『首の病気は手術で治す』という木原先生の書かれた本を偶然本屋で見つけたのはそんな時でした。実は、本を手にした時、半信半疑でした。今までの苦い体験が頭にあったからです。しかし、ざっと立ち読みすると、目が開かれたような思いがしました。

 内容は非常に難しい事を扱っているのでしょうが、分かり易く書かれた文章のおかげで、医学の知識が全くないわたしにもすらすらと読むことができました。最初は要点だけを拾い読みをしました。特に、木原先生が独自に開発された手術の方法と従来の手術の方法との違いを書いた章は繰り返し熟読しました。そして、本を購入した翌日、京都の病院に電話を入れ、先生直々の診察の予約を取りました。

 木原先生の初めての診察を受けたのは今年の五月末です。レントゲン、MRI、CTの写真を前にして率直な説明を受けました。手術を受けないでいるリスク、そして、手術後の症状の改善の可能性を非常に分かりやすく説明して頂きました。手術はその場で即決し、お願いしました。

 血液採取時の注射器を見ただけ気が遠くなる小心者のわたしにとって、「首の手術」はまさに恐怖そのものでした。ですが、あっと言う間でした。歩行困難は大きく軽減し、快適な生活を再び取り戻せたのはまさに木原先生のおかげです。副院長の小泉先生、献身的な看護師の皆様と看護部長様、並びに病院関係者の方々へ心より感謝申し上げます。ありがとうございます。